ジャーナリズム崩壊(上杉隆著)

ややもするとネットでは「マスゴミ」と評される、新聞、テレビといった媒体のジャーナリズム。本書を読むとまさしくマスゴミであることがよくわかります。そして真のジャーナリズムとは何かという筆者の考えもよく伝わってきます。
それにしても本書で描かれるNHKの体質や記者クラブの体質。本当?と思いたくなるほどひどいです。年功序列、終身雇用、古きよき昭和の時代の生き残りかも知れませが、早晩に真の崩壊に進むことでしょう。そのために、真のジャーナリズムを体現する代替手段が広く普及すればいいわけです。新聞はなくならないでしょうし、テレビもなくならないでしょう。ただ比重が下がればいいのです。
テレビについてはインターネットテレビなど電波テレビなどとは違った手段が出てきていますので、コンテンツ勝負になります。つまるところ広告業ですから、多くの人に如何に見られるかが鍵になります。優れたコンテンツを用意できない限り、地上波デジタルになったとしても、中身が伴わなければ電波テレビの会社は苦しい状況に追い込まれるでしょう。
新聞はどうでしょうか。新聞の有利な点は毎日配達する速報性と紙の柔軟さにあると考えられますが、速報性ではインターネットに勝つことができません。紙の柔軟さの利点はまだ残りますが、アマゾンのKindleなど電子書籍リーダーが出てきていますし、iPhoneスマートフォンの普及も考えられ、紙である優位性はなくなってきました。従って新聞もコンテンツすなわち中身で勝負していく必要があります。中身については東洋経済などの経済週刊誌が質のよい記事を書いていますので、これら経済週刊誌が倍ぐらいのあつさになり、政治、社会面も扱うようになると新聞の立場はますます苦しくなります。
ともかく中身がよくなければ残れないという当たり前の結論にたどり着く訳ですが、この本を読んだ限りだとあまりにマスコミには志も中身もなく、まともな記事やコンテンツを提供し続けることは今後難しいだろうと予想できました。