不安定の中の安定

原油高、資源高が続いていますし、サブプライムの問題がありますし、不動産など官製不況も起きています。局所的に不安定感が高いのですが、大局的にみると不思議な安定感に包まれています。
まず、日銀、白川総裁は日銀マンなので、利上げ推進かと思いましたが、今週の東洋経済を見ても必ずしもそうではなく、景気実態に応じた対応を取ろうとしているようです。あまりニュースになりませんがよい舵取りをしているのだと思います。なんだかんだいっても日銀の舵取りは日本、世界の経済に影響を与えます。そういった意味では目立たないということはよくやっていることといえるかも知れません。アメリカもバーナンキ議長のすばやい対応から立ち直りの兆しを見せています。
次に政治ですが、支持率がないこととねじれでこれまた奇妙な安定感を保っています。何も進まなかったというとそうでもなくて、公務員改革や備蓄米の放出、中国との関係改善等進んでいます。首相の他人事の話し方でだまされますが、ねじれている割にはよくやっているといえるかも知れません。半年もたったのでねじれを利用して物事を進めるような学習効果も働いてきました。公務員改革や一般財源化を約束したのはねじれているからにできたともいえます。政治家は今のうちにねじれを徹底活用し、旧態の牙城を崩しておく必要があると思います。
また、これは賛成できませんが、支持率が低いのでどうせなら消費税を7−10%に上げて退陣するということも案としては考えられます。この後、政界再編を行えば誰が総理になっても比較的楽に運営できると思います。
最近、小出しに「居酒屋タクシー」の話が出ますが、政治家も官僚も記者クラブの人たちもみんな知っていたんでしょといいたくなります。タクシーチケットのカラクリとなぜ永田町周辺には個人タクシーしかいないのかを。一般にまでこの話が出てくるということは、どこかで公務員改革を行うという意思が大きくなってきているといえます。
これらは全てねじれのために起こっています。自民党もだめ、民主党もだめという事態でねじれを演出した国民は優れた演出家であるといえます。政治と密接に絡む五輪までまだ緊張感は高いまま続きますし、鳥インフルエンザの恐怖も迫っています。夜明け前が一番暗く静かです。今がそのときと思い、この奇妙な安定感の中、次へ準備をするときだと思います。