ブラウザがあればまずは論文が書けます。
http://www.acl-inc.co.jp/p-lab
構想は昨年10月くらいから、細かい設計を4月くらいから初めて、ひとまず動くところまで来ました。0.1版程度のできでしょうか。元々自分が論文を書きたかったのですが、仕事の合間で書かないといけないので、WebでLaTexが使えればいいなと思ったところからスタートしました。昨年のインターネットの世界は今では想像もつきませんが、携帯を中心に暇つぶし的な話が多かったように思います。そのアンチテーゼもあり、インターネットで知的な価値を生み出す仕組みが欲しいと思っていました。そうして名付けたプロジェクトがTENJINプロジェクト。その第一弾がP-Labになります。TENJINは知の神様である天神様の名前を借りました。Googleは世の中の情報を整理しています。そうして整理された情報が知識になりました。この知識を我々はどのように生かしていけばいいのでしょうか、知識から知恵へ、知恵から英知へというのがTENJINプロジェクトの基本コンセプトです。
P-Labを使うと、
- LaTexを使って論文を記述できます。論文はPDFで出力されます。画像はGIFとJPGが使えます。スタイルファイルを登録することができます。
- 参考文献を登録することができます。
- 研究実績を登録することができます。
それぞれの連携はまだ今作っているところなのですが、どんどん使いやすい場にしていきます。
LaTexと言えば数式はきれいに出るものの、環境構築をするのが大変であったり、コマンドを覚えるのが難しかったりと少し敷居が高かったかも知れません。P-Labを使えば環境設定の煩雑さは無く、マウスクリックでコマンドも入れることができますので、すぐに論文を書くことができます。是非使っていただければと思います。利用は無料です。専用のサーバーを用意するASPは有料になりますが、機能は同じです。
もう少し、記述すると、現在高学歴ワーキングプアーという言葉があります。私も末は博士か大臣かという時代に育ち、博士課程修了の後、退学という身分です。私の場合、幸いにインターネットやJava,phpで生活することができましたし、法人化も果たせました。でもセブンイレブンでバイトをしている博士や、残念なことに鬱になってしまった博士課程の人など周りにたくさん居ました。今でも毎日新宿を歩くたびに思うのです。奨学金ももらって大学院まで行ったが、明日はあそこの道ばたで寝ている人に自分がなってしまうのではないかと、彼らと私は同じなのかもしれないと。サイコロの目がたまたま異なったのではないかという畏れを感じます。
博士をとった後も、今はどこも任期制で3年程度で研究所を渡り歩くような不安定な人が多いようです。生活の不安だけならまだしも、絶望感を抱えてよい研究が出来るとは思えません。また常勤のポストが減っている分、常勤の若手をはじめとした多くの中堅のとこでの研究以外の負担は莫大な物になっているようです。
また、一部ですが、常勤の立場で何十年も研究もせずに、年功序列に乗っかり、定年まで逃げ切ろうとしている人も見受けられます。
研究したい人が、研究できる世の中であってほしい。研究に打ち込める世の中であってほしい。P-Labには研究者は研究してなんぼでしょという思いがこもっています。
まだ高機能でもなく、赤ちゃんのようなサイトですが、P-Labで少しでも雑務の負担がなくなり、1本でも多く研究論文が発表される世界を夢見ています。世界に誇れる日本を目指して。