アゴラ連続セミナー 西和彦「ベンチャー失敗学」1回目
アゴラ企業塾の連続セミナー1回目に参加してきました。
仕事の都合で5分ほど遅れて到着しました。中は既に満員で話が少しスタートした後でした。
実はあまり西さんの経歴を知りませんでした。アゴラ起業塾の文章によると「日本のパソコンの開拓者です。雑誌「ASCII」を創刊し、マイクロソフトのビル・ゲイツとともにMS-DOSを開発し、その後もMSXなど多くのプロジェクト開発にかかわって、成功とともに失敗も経験してきました。」
また頂いた資料によると、「年商三百億円を達成した最年少の社長として株式の店頭公開を実現し、ピーク時には、アスキーグループは年商五百億円の企業群に育った」
とあるとおり、実はすごい人なのでした。
最近の経歴は
http://biography.sophia-it.com/content/%E8%A5%BF%E5%92%8C%E5%BD%A6
にまとまっています。現在は一貫教育の学園長や大学の教授、コンサルティング、会社経営など幅広く活躍されているようです。
事前にGoogleでリサーチした結果は、「ウィキペディアはネットの肥溜」 や2chでのやり取りなど過激な文章が並んでどのような人か興味もって参加しました。
実際に参加して、西さんの言葉は経営者としての実体験に基づく非常に含蓄のあるもので、有料のセミナーではありましたが、参加してよかったと思いました。その価値はある講義でありました。
復習を兼ねて、昨日の言葉をまとめたいと思います。
<成功拡大時>
ビジネスドメインの拡大
- パソコン
- 教育
- ゲーム
アスキーはパソコンを強みとする会社で、ゲーム、教育へとドメインを拡大した。これにインターネットを掛け合わせることにより業務を拡大した。
新しいニュースをいち早く週刊誌で報道した。ホームページより早く、ホームページを印刷するより安いというのが強みだった(時間革命)。
横軸に受信者の数、縦軸に時間をとったメディアマップを例に、事業ドメインが販売網となる新聞と、免許制のTVと重ならないように注意した。
多角化は地理感のある隣地から行っていった。
例)ソフトウェア→半導体設計
事業部経営システムを採用した。
- 松下電器の事業部性やスェーデンのABB(アセアブラウンボベリ)社の50人程度のビジネスユニットを参考にした。
- 毎月15日に先行決算を行うようにした。この結果、社員が言い訳をしなくなった。15日から決算に合わせて、売上を上げるか、経費を下げるかするようになり、±3%の精度で決算と結果が一致するようになった。
- 本社派遣の経理部長を置くことにより、本社への経理、事業部への経理を両方報告させる体制を作った。
- 組織図はフラットな放し飼いの組織図にした。お客様を頂点に、社長を一番下に、間にビジネスユニットを置いた。ピラミッド組織にするとその時点で、思考がピラミッドになるのでやめたほうがいい。
その結果、20事業部で700億円、35億円利益の企業となった。
<大切なこと>
・繰り返しのビジネスが大事
・キャッシュフローでお金の感覚を大事にする
・ビジネスユニットごとで文化が違うと一緒になれない
・事業を始め、終わらせる権限は→社長が判断せねばならない
<社員教育>
・楽しいことをさせる、失敗を見逃す、成功させるが大事。
→失敗を追及すると、失敗もしないが成功もしない組織になる。
・事業部の経営を教える必要がある
→経営は経営者しか教えることができない。
・プロジェクトマネージメントやマーケティングは技法として経営を学んだ後に身につける必要がある。
・人間関係のチェックのために定期的に配置希望を聞く(人間関係がうまく行っていない人間は配置換えを希望する)
<時代の先取り>
・いつも10年先のニーズを先取りすること
・AppleやGoogleのように新しいものを出す会社のイメージ
・会社の体制をうまく行っているときほど、自分で新しくする努力
<つまずきのもと>
権限が及ばなくなり、自分の知らないところでお金が使われていった。
→金額の大小ではなく事業計画に無い出費は厳しくチェックする必要がある。
→決算の権限を他の人に任せてはいけない
西さんの場合もそうですが、結局ホリエモンさんも同じように何も知らないまま事態が進行してしまったのかも知れません。
<現状認識と未来予測>
・経済は4年間よくはならない、もっと悪くなる
→民主は自民のバグ取りをやっていて、プログラム(経済成長)を書いていないから
・自民党から民主党に利権の付け替えを行っているのが見える
・アメリカはインフレ政策に入ったもの模様で、1ドル50円まで行くか。
・極論、1ドル10円まで行くかも知れない。ドルはハイパーインフレになり、金の裏づけのある新しい通貨が出来るかもしれない。
・政府に助けてもらおうと思ってもだめ。
・景気はずっと悪い(これが普通)と覚悟した会社が生き残る
・今起業すれば景気が良くなったときに大きく伸びる
<ベンチャーの条件>
・客観的にユニークであること(専門的優位性が必要)
・勤勉であること(続ける力)
・エネルギーを失わない生き方
・この世の役に立つ
決断よりも決心
→決心の前に一息入れる(おしっこに行く)→最終確認
→迷いがゼロのときに決める
→迷ったらパス、迷ったときにYes/Noの決心をするとうまく行かない
→迷わなくて儲かることをやる
→今の金儲けを続けながら10年先を考えて行動する、3年先ではだめ。
<まとめ>
人生に失敗は無い、全ては実験である、失敗に学ぶことが大事。
お金を返さなくても命はとられないし、借金にも事項がある、本当の失敗は破産と自殺である
先を見ながら予測し続ける。企業の代表者であるという自覚が大切。