著作の2次利用について考えてみる

上杉隆さんの宰相不在を読みました。実はこの本ダイアモンドオンラインというところで発表された文章を加筆まとめたものでした。オンラインでほとんど読んでいた話なので、読み始めてなーんだ、となったのですが。これはこれで下記の点でよいなと思いました。
まず第一に過去記事の検証を自分で行っている。ジャーナリストは文章が命だと思います。その記事の正確性など後できちんと検証するような人は今まで多くなかったように思います。その意味では一度読んだ文章が多かったですが、時代の流れ(といっても少し前ですが)を考えるのに役に立ちました。解散解散と言っていてはや4月ですから。
それから、著作物の2次利用(多次利用)について考えてみました。本書はオンラインで発表した文章を後で検証、加筆した物です。オンラインは無料で読めるのでその収入構造はよくわかりませんが、本を書くという点では既にデジタルな原稿がある訳ですから、コストは低いと言えます。
著作権というと映画、アニメ、音楽、書籍など過去インターネットに無断に掲載されて被害を被ってきた人たちがいます。ところが法がある程度整備されてくると著作権者はインターネットの恩恵を存分に受けることができるようになると思うのです。どういうことかというとインターネットを利用していろいろな形で、著作を再発表する場所が整い始めたということです。すなわちインターネットを使うことにより著作権者は自らの管理下で著作物を無限に再利用できるようになるのです。
配布する側も受け取る側も今までよりも低コストで利用出来るようになることが重要です。コピーガードのような方向は誤りで、どんどんコピーしてね、でもお金も落としてねという仕掛けが必要になります。
iTuneミュージックストアやアップストアはその先駆けと言えるでしょう。他にバンダイチャンネルなどもいい仕組みを構築しています。今後もいろいろな方法で著作物の多次利用が可能になると思います。
もちろんファイル交換ソフトなどなくなることは無いと思いますが、ファイル交換ソフトはウィルス感染のリスクや違法ファイルならば検挙されるリスクを伴います。それよりも安全で安く手軽な方法があればそこにお金を落とすようになると思うのです。
そのあとに問題になるのは可処分時間であると言えます。例えばガンダムがいつでもオンデマンドで見られるようになるとその分、他に使う時間が減ります。無限にあるコンテンツに食われてしまい、新しい大きなコンテンツが誕生しにくい時代になってきていると言えます。
最近、テレビや新聞の業界が不況であると言われますが、景気だけの問題ではなく可処分時間に他のコンテンツが食い込んできたためと考えられます。パソコンの前に座ってやるインターネットが原因というより、例えばひかりTVなどのデマンド放送や多チャンネル、PSPやDSが食い込んできているように思います。可処分時間は有限であるため、今後テレビや新聞が挽回するのは難しいように思います。挽回するには魅力的なコンテンツを提供するということにつきます。テレビも新聞もその構造的問題から現在、予算削減→魅力的でないコンテンツ→更なる利用者の離れといった悪循環に陥っていると考えられます。
全然、本の内容とは関係ない話でしたが、著作権について考えてみました。